課題主旨
個の時代だと言われて久しい。携帯が普及し、求める情報にいつでもつながる社会を手にして、社会や家族への帰属意識は、ますます希薄になっている。誰に会わなくても、働いたり学んだりできる一方、コミュニケーションへの渇望が生む、様々な社会問題も引き起こされてきている。
統計を見ると、2005年度に全国で29.5%であった単独世帯率は、2030年には37.4%になると予想されている。(2005年の世界の単独世帯率上位は、スウェーデン46%、ドイツ39%、ノルウェー38%、デンマーク38%)現在の東京の単独世帯率は43.5%で、新宿区58.09%、渋谷区57.49%、中野区57.22%、中央区56.60%、豊島区56.29%と上位の区は50%を超えている。(平成22年予測値)都市部では、もはや一人で住むことの方が普通になりつつある。しかし、都心の家賃は総じて高く、都心でゆったり暮らすことのハードルは高い。結果として、小さなワンルームマンションやアパートばかり目立つのが、現在の東京である。
こういった現状を踏まえて、両国という東京の下町に、異なる生活スタイルを持つ7人が生活する場所を設計してほしい。現代において、集まって住むこと(生活すること)の意味を再考する課題である。それはシェアハウスかもしれないし、小さなコレクティブハウジングかもしれない。SOHO(Small Office Home Office)かもしれない。だが、全員が共有するスペースは必ず持たせてほしい。
敷地は広くないので、多層(3層以上)になるだろう。7人が快適に住むためには、複数の領域をつなぐ装置として「階段」に注目してほしい。また、トイレ・風呂・キッチンなどの数やスケールも重要な要素になるだろう。2年生の最後に、建築の基礎となる水回りや階段の「スケール」を意識しつつ、新しい7人の住まい方を描いてほしい。
敷地条件
東京都墨田区
用途地域:商業地域
建ぺい率:80%
容積率:500%
防火地域
建築条件
構造自由
階数自由
建築規模
延床面積 240u程度
建築面積は自由
但し、民法上、敷地境界から建物が50cm以上は離れていること。
設計条件
生計を別にする7名が生活をする。(複数の家族でも可)
全員が共有するスペースを必ず持つこと。
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