建築デザインW・同演習 
注:本課題は大学の授業の一環として実際の敷地を想定して出題しております。
スケールを考える
 階段と風呂と私 

課題主旨
 雨や風、暑さ、寒さから逃れるシェルターが、建築の原点であると思う。気候の変化から身を守り、外敵からも身を守る。その答えとして、建築の屋根や壁は存在している。つまり、建築を設計する行為とは、「領域」を決定する行為であると言い換えられるだろう。壁や屋根によって外部と内部の領域を分けることで、「建築」は成立しているのだ。

 そう考えると、日頃なにげなく使っている「階段」が、面白い建築的要素であることに気がつくかもしれない。複数の領域をつなぐ装置として「階段」は存在しており、「階段」という機能によって多層建築は初めて成立する。そういう理由なのか、上下の領域がつながれた場所に建築的な魅力を見いだす建築家は多い。吹き抜けや天井高のある空間に魅力を感じるのが顕著な例であり、「階段」もまた建築家の腕の振るいどころである。

同時に「階段」を正しく設計できることは、建築を作り出すために必要な知識である。トイレ・風呂・キッチンなどの水回りと階段が設計できれば、住宅はほとんど設計できているのかもしれない。これらの設計には様々なスケールを覚え、そしてそれらを使いこなせることが必要になるからである。特に日本人にとって風呂は重要な要素である。風呂に入り、身体を清めることは日本人にとって、生活の一部であるし、温泉などでゆったりと湯船につかることで幸せを感じる日本人は多い。一方、家の中で靴を脱ぐ風習のある日本では、階段は欧米とは違う、もっと弱い存在として考えられてきたかもしれない。

 このように、この課題は、「階段」「風呂」という建築の部分から、建築全体を考えていく行為を目的とするものである。建築にとって、そして自分にとって、「階段」とは何か?そして「住宅」とは何か?を考えることによって魅力的な階段と風呂のある「家」を考えて欲しい。

敷地条件
  自由
設計条件
  魅力的な階段と風呂をもつ小住宅であること
構造形式
  自由
建築規模
  床面積 60u程度
必要諸室
  1人の私のために使われる住空間であること
  住宅として成立する機能を満たしていること(他に依存しない)

S.Nemoto
K.Uchida
Y.Furumizu
H.Masuda
A.Kumagai
T.Kaneko
T.Kumasaki
S.Kano
S.Yaita
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