建築デザインW・同演習 
注:本課題は大学の授業の一環として実際の敷地を想定して出題しております。
Shimokita Urban Renovation
引き算のデザイン・足し算のデザイン

課題概要
 デザインという行為は、現状を「整理する」という作業から始まる。それは、必要条件を「整理する」という抽象的なレベルでもあり得るし、バラバラな状態の要素を「揃える」という物理的なレベルでもあり得る。デザインという行為の初期段階には、そうした手続きがあり、ほとんどそれでデザインの方向性が決まってしまうことさえある。
 「整理」したり「揃える」ために、何かを「付加」しなければならないことがある一方、何かを「削除」したり、「省い」たりする必要が発生することもある。前者を仮に「足し算のデザイン」と呼ぶとすれば、後者は「引き算のデザイン」と呼ぶことができるだろう。
 デザインという行為は、基本的にこの「足し算」と「引き算」のバランスで成立している。このことは、インテリアのような「領域」や建築のような単体の「モノ」をデザインする場合に限らず、明確にその輪郭を言い表すことが難しい都市やランドスケープなどをデザインする場合にも同じことが言える。

 今課題では、通称「シモキタ」と呼ばれる小田急線・井の頭線下北沢駅周辺を対象とした「足し算」と「引き算」のデザインに挑戦してもらいたい。下北沢をサーヴェイ(調査)し、対象エリアの中から、気になる部分を選び出し、実際に存在している何かを「削除」して、その代わりに何かを「追加」する。削除する対象は、いろいろなレベルで見いだすことができる。特定の建物を丸ごと取っ払ってしまう方法もあるだろう。「道」を取っ払ってしまう方法もあるかもしれない。
 これまでの課題では、規模や状況こそ違えども「足し算のデザイン」のみが要求されていたが、この課題では「引き算のデザイン」を覚えてほしい。時には大胆な「引き算」が非常に大きな効果を発揮することがあるのだから。
 サーヴェイ → 分析 → 問題意識 → 提案といったプロセスを、自らの体験をもとに空間化することを期待している。

敷地条件
  下北沢駅周辺に各自場所を設定する
建築条件
  建築的、都市的提案であること
建築規模
  延床面積は特に規定しない
施設内容
  周辺環境との関わりに配慮した提案であること
  新しいアクティビティーを発生させる為に必要な機能を含むこと

S.Kato
Y.Endoji
M.Ohide
R.Tanizaki
M.Hashimoto
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