建築設計W 
注:本課題は大学の授業の一環として実際の敷地を想定して出題しております。
芸術文化センター
−建築・都市との対話−
はじめに
 劇場を含む複合文化施設の設計である。敷地は横浜市西区紅葉坂の、県立音楽堂・県立図書館・県青少年センター等からなる文化地区に隣接した一角である。県立音楽堂をはじめとするこれらの施設は、コルビジェ門下の前川圀男の設計になるもので、戦後初期の名建築とされている。今課題ではこれらの施設については現状保存を前提とし、その補完的役割を果たす小劇場と音楽図書館を設計することで紅葉坂地区の文化センターとしての役割の強化・再構成を図ってもらいたい。従って既存施設を含む地区全体のアーバンデザインと劇場・図書館の設計の両者が課題の中心的テーマとなる。

敷地の都市・建築的背景
 横浜市西区紅葉坂にある県立音楽堂・図書館、県青少年センターは、敗戦後荒廃した神奈川を復興させるため、当時の内山県知事が特に力を入れて建設した施設である。設計はいずれも前川圀男で、特に県立音楽堂は日本初の本格的音楽専用ホールとして誕生し、現在の法規では許されない木を多用した内装仕上により、現在も音響の良さで内外に有名である。しかし、いずれも敗戦後日本が貧しい時代のものであり、現在では欠点や不備も数多く指摘されている。神奈川県には、これらの建物を取り壊して紅葉ヶ丘文化ゾーンとして再整備をする計画もあるが、現在では計画は凍結されている。

課題内容
 紅葉坂の県立音楽堂・県立図書館・県青少年センターに隣接する敷地に小ホールと音楽図書館を設計し、これら三施設と共に一帯を芸術文化センターとして整備する計画を課題とする。小ホールや図書館の設計に際しては、各施設の関係にも留意し、複合的文化施設として提案すること。また、既存施設との都市計画的・アーバンデザイン的な提案により、全体をより有機的に再編しつつ、欠落している機能を補完することを提案してもらいたい。

計画敷地
 1・建物(劇場・図書館)敷地
   既存三施設より一段低い位置にあることに注意すること。
 2・広場敷地
   広場敷地既存の複合文化施設を保存しつつその様々な欠点を解消し、既存三施設と今回の
   課題敷地に囲まれた駐車場を広場として計画することにより、全体として機能的・建築的改善を
   図るための補完的施設を計画する。既存施設と今回の課題施設とのつながりに留意すること。
 3・既存施設
   上記の通り既存三施設は現状のまま保存することを前提として計画するが、既存三施設につい
   て改修計画を立案する必要はない。

計画内容
 1・既存施設前の駐車場を広場とし、全施設の中心として機能するよう計画する。
   駐車場(最低100台)は広場地下または新設建物地下・周辺等に移転計画すること。
   一台当たりのスペースは5m×2.5mとし、車路幅員は6mとする。
 2・楽譜・音楽書・CD・DVD等を蒐集した音楽図書館(延べ面積1500u程度)

エントランスホール 約200u
レファレンス 約200u
閲覧室 約300u
視聴覚ブース 約10u×10箇所程度
収蔵庫 約300u
その他 適宜

 3・音楽堂(席数1055)は中規模の音楽専用ホールであるが、
   それに対し、小規模(席数400−500程度)の音楽ホール及び付帯施設(延べ面積2500u程度)

エントランスホール 約200u
ホワイエ 約400u
ホール・舞台 約800u(座席配置を図示すること)
楽屋等 約200u
搬入口 約100u
楽器庫・舞台倉庫 各約100u
その他 適宜