建築設計V 
注:本課題は大学の授業の一環として実際の敷地を想定して出題しております。
Interaction相互作用を考える
都心に建つ芸術文化交流施設
課題内容
 近代社会の特徴的な機関のひとつであり続けてきた美術館に、大きな変化の波がおそっている。
 そのひとつに、今までスタンダードとされてきた展示モデルの見直しがあげられる。ビエンナーレやトリエンナーレ、アートプロジェクトや、web上で展開するデジタルミュージアムなど、美術館という枠を超えたさまざまな展示空間もすでにめずらしくない。社会そのものの変容と重なりながらその属性(スタイル)を変容しつづけている芸術表現に、従来の美術館という場が対応できなくなっていると考えて良いだろう。
 
 近年、欧米では、新館建設や大改修工事をふくめ、大規模な展示の組み替えや組織の更新が進行している。
 日本国内では、厳しい経済状況のなかデパート系美術館が相次いで閉鎖され、省庁・自治体の組織改編の一環として公立美術館・博物館の民営化・独立行政法人化が進行中である。また美術館の内部では利用者の自発的な活動を誘発するプロジェクト型の企画運営が模索されている。例えば、モノを見せるのではなくコトを体験させるワークショップ、地場産業との共同プロジェクトなどによる新しいローカリティの創出、館外からもアクセス可能な文化芸術情報のアーカイブ化とネットワークの整備などをあげることができる。

 この課題は、従来の美術館という概念を拡張し、新しいタイプの芸術文化交流施設のありかたを探るものである。
 「人間が人間自身について省察を深めるための知と情報の集積」という古来以来ミュージアムが果たしてきた始源的な機能に立ち返り、その現在的な姿を問いたい。そこには、もはや予定調和的な美しい全体像はもとめられない。代わって、絶え間ない情報の流れは不可欠であろうし、利用者の知的好奇心の変容に柔軟に対応できる仕組みがもとめられよう。

・敷地 
 東京の副都心(新宿・渋谷・池袋・上野・秋葉原・臨海)の中からグループワークにおいて新しい芸術文化交流施設に相応しい敷地を決定する。

・設計条件 
 ・延べ面積  3000u前後
 ・構造形式  自由(木造・鉄骨造・RC造・混構造)だが、必ず説明のつくように設定をすること。
 ・必要諸室  グループワークにて決定する。建築計画2資料参照のこと。
            機械室の面積を10〜15%確保すること。
<< 作品紹介へ